体臭が気になるからといって、石鹸とナイロンタオルでゴシゴシと強く洗いすぎていませんか?
汚れも垢もスッキリとれて清潔になる気がしますが、実はこれは体臭予防には逆効果。
「洗いすぎ」は肌に悪影響で、かえって体臭を強くすることになるのです。
9割以上の人が自分のニオイを気にしている!
暖かくなって汗をかく機会が増えると、自分の体のニオイが心配になるという声をよく聞きます。
「英語学習ひろば」の調査によると、「9割以上の人が自分のにおいを気にしている」という結果が出ました。
出典(画像引用元):英語学習ひろば
https://hitononayami.com/body-odor-survey/
この調査は、10代から60代までの男女500人を対象に、
「自分や周りの人の体臭が気になったことがありますか?」
「自分の汗やにおいを周りに指摘されたことはありますか?」
などのアンケート調査を行ったものです。
9割以上もの人が気にしている自分のニオイですが、体臭が気になるからといって、体を洗いすぎるのは実は逆効果なんです。
その理由をみていきましょう。
皮膚の常在菌
私達の皮膚表面には、皮膚常在菌と呼ばれる菌が存在しています。
皮膚常在菌の中でも、肌のうるおいやバリア機能を保つはたらきのものは「善玉菌」と呼ばれています。健やかな美肌をつくるため「美肌菌」とも呼ばれています。
これに対し、乾燥やアレルギーなど肌トラブルの原因となるものは、「悪玉菌」と呼ばれています。
皮脂や汗に含まれる成分を代謝・分解してニオイを発生させるのも、悪玉菌の働きです。
(その他、健康な状態では良い働きをするけれど環境が悪化すると悪い働きになる「日和見菌」と呼ばれるものも存在します。)
健康な肌は、適度な皮脂が存在し、phは弱酸性。善玉菌が優位な状態のバランスが保たれ、皮膚はうるおい、外部の刺激から守られています。また、ニオイも発生しにくい状態です。
洗いすぎは皮膚常在菌のバランスを崩すことに
ところが、ゴシゴシ洗いすぎることにより、肌は必要な皮脂や角質まで奪われてしまいます。石鹸などの洗浄成分により、肌はアルカリ性に傾きます。
すると、皮膚常在菌のバランスが崩れ、善玉菌が減り悪玉菌が優位な状態になってしまいます。
悪玉菌が優位な状態では、皮膚のバリア機能が働かず、肌は乾燥して表面が傷つきやすくなります。かゆみや肌荒れが起こりやすく、アレルギー(アトピー)や感染症にもかかりやすくなるなど、様々なトラブルを引き起こします。
皮脂が奪われて乾燥した皮膚は、油分を補おうとしてかえって多く皮脂を分泌します。
その際、一度にたくさんの皮脂が分泌されるため、皮脂腺が詰まり吹き出物ができたり、ベタつくことになります。
体臭にも悪影響!
洗いすぎにより皮膚常在菌のバランスがくずれ、肌の上で増殖した悪玉菌が、皮脂や汗に含まれる成分を代謝・分解してニオイが発生します。
また、必要な皮脂まで奪ってしまい肌に皮脂膜がなくなることで、体内の水分は蒸発しやすくなります。水分が蒸発する際、皮膚ガスとして、周囲に臭いが発散されます。
過剰に分泌された皮脂が、皮脂腺の中で詰まり、それが酸化して臭うことも。
このように、洗いすぎは、体臭が強くなる悪循環を生み出すことになるのです。
肌トラブルもニオイも防ぐために
身体を清潔に保ちながら、肌トラブルやニオイを防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。
ポイントは、洗い方と保湿です。
洗い方は優しく丁寧に
体の汚れは、お湯だけでおおかたは取り除くことができます。ゴシゴシと強くこする必要はありません。ボディソープや石鹸はよく泡立て、優しく洗うことを心がけましょう。
ナイロンのタオルやスポンジは、石鹸やボディソープを泡立てやすいのですが、素材が硬く肌をこすると必要な角質まではがしてしまいます。泡立て専用にして、身体を洗う際は柔らかいタオルとたっぷりの泡で優しく洗ってください。
お風呂の湯船に浸かること自体も、汚れを優しく落とせます。
湯船は、ストレスや疲労の解消、汗腺を鍛える効果もあり、体臭予防の強い味方です。
最近、美容に良いと話題の「タオルやスポンジを使わず手だけで洗う」方法は、肌を守るには適しています。ただし、角質(垢)が残りがちな点には注意。
同様に、「石鹸・ボディソープを使わずお湯だけで洗う」方法も、肌に優しく、汚れの多くは落とせるのですが、古い皮脂などの油性の汚れが残ります。
体臭予防の観点からは、少なくとも週に1回は柔らかいタオル・洗浄剤の使用をおすすめします。
自分の皮脂量や汚れに合わせて、適切に組み合わせましょう。
入浴後はボディクリームなどで保湿を
肌の油分はとても失われやすく、お湯だけでも流されてしまいます。
入浴後の肌には、ボディクリームなどの保湿剤を使用することがおすすめです。
乾燥を防いで、肌にうるおいを与え、善玉菌が優位なバランスを保つことができます。
使用する際は、こする・すり込むのではなく、そっと肌に伸ばすように使いましょう。
ただし、使いすぎには注意してください。成分が洗いきれずに残ったままの状態は、菌が繁殖しやすくなります。
適量を使用し、また、肌が敏感な人は香料などが無添加のものを選んでください。
まとめ
体臭の予防・改善には、汗腺を鍛えることや生活習慣の見直しのほか、毎日のお風呂での身体の洗い方も見直してみましょう。
清潔にすることは大切ですが、何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」です。においが気になるからといってゴシゴシと強く洗うのは逆効果。かえって臭いが発生しやすくなります。
体の汚れはきちんと落としつつ、皮脂や角質をとりすぎないよう、優しく丁寧に洗いましょう。
健やかな美肌を保つためにも、体臭の予防のためにも、大切なことです。