人のイメージを大きく左右する要因のひとつは「におい」ですが、不快に思われる体臭であっても、自分のニオイは自分では気づかないことが多いです。なぜでしょうか。
いいにおい・不快なニオイとは
私たち人類は、危険をニオイによって判断して生きてきました。近づいてはいけない(天敵の存在など)危険を察知したり、食べてもよいものかどうかを判断するのに、嗅覚を使ってきました。
たとえば、食べても大丈夫な果物の匂いは、美味しそうなにおいだと感じます。
しかし、煙の臭いや腐敗した臭いは、不快に感じ、避けようとします。不快な臭い、つまり「くさい」と感じるということは、近づいたり食べたりしてはいけない危険なものを察知するために発達した本能によるものです。
その一方で、経験や学習によってもにおいの感じ方は影響されるので、同じにおいであっても、人によって感じ方が異なります。においを発する物や人との関係性によっても、好き嫌いが分かれます。
例えば、発酵食品などのにおいは好き嫌いの差が顕著に現れます。納豆が好きな人にとっては納豆のにおいはおいしい食べ物のにおいですが、嫌いな人は臭いと感じます。
ただし、どんな香りであっても、においの濃度により印象は大きく異なります。
どんなに良いにおいであっても、強すぎると不快に感じるので、香水や柔軟剤も注意が必要です。
体臭は?
健康な人の体臭は本来は普通のこと
元々、体臭は、人類が異性にアピールするためのフェロモンの役割を持っていました。健康な人の体臭はそれほど気にしなくてよいはずのものです。(※遺伝的に近い個体は子孫を残すのを避けるため臭いを本能的に不快に感じる場合もあります。)
しかし、現代人は臭いに対して神経質になっていることや、日本ではワキガはあまりなじみがなく異質に思われがちであることなどから、ニオイを気にする人は多くなっています。
衛生状態や健康状態の悪化による体臭
汗臭や足の臭い、ミドル脂臭、疲労臭やストレス臭・・・。
これらは、衛生状態の悪化(細菌によるもの)や、健康状態の悪化により発生するものです。
このため、避けたほうがよい危険なものとして不快に感じられるようです。「不衛生・不健康な臭いである」という学習による認識もあるでしょう。多くの人が不快に思うニオイです。
自分の匂いには気づかないのはなぜ?
人は誰でも、普段かいでいるニオイは慣れてしまい、感じにくくなります。これは「いつも自分の周囲にあるニオイは、自分にとっては危険なニオイではない」と判断されてしまい、嗅覚が「順応」するためです。ニオイによる危険察知のセンサーをオフにするイメージです。このため自分のにおいは感じなくなります。
普段におわない人が一時的に臭う場合は、嗅覚が順応していないため自分でも気づきます。
足のニオイも、普段は靴を履いているため嗅覚は順応しておらず、靴を脱いだ時に気づきます。
しかし、普段からニオイがする人ほど、嗅覚は順応してしまいます。このため、きつい体臭であっても、自分のニオイに全く気づかないまま周りの人に迷惑をかけているなんてことも・・・。
最近では「スメハラ(スメルハラスメント)」と言われ、社会問題にまでなっています。
こんな場合は要注意
・運動不足で悪い汗をかきがち
・ワキガ体質である
・疲労がたまっている
・ストレスがたまっている
・便秘気味
・肉食に偏った食生活
・お酒の飲み過ぎ
・極端な食事制限ダイエットをしている
こういったケースは体臭がきつくなりがちなので要注意です。
ニオイのチェック方法とそれぞれのニオイに応じた対策
自分のニオイは自分で気づかない・・・なんて、不安になりますね。そんな場合の確認方法はこちら。
1.一日着たTシャツなどの直接肌に触れる衣類をビニール袋に入れて密閉します。
2.入浴して、身体の汗や臭いを洗い流します。鼻がリセットされた状態になります。
3.ビニール袋に入れた衣服のニオイ、つまり自分のニオイを確認します。
体臭が確認できた場合はそれぞれに応じた対策を。主に以下のものがあります(ただし体臭はひとつの臭いだけでなく様々なものが混じっている場合がほとんどです)。
ツンとする、硫黄っぽい、スパイスのような→ワキガ臭
酸っぱい、ツンとする→汗臭
酸化した脂のような→ミドル脂臭
アンモニアのような(トイレの発酵臭)→疲労臭
ネギやニラのような、硫黄のような→ストレス臭
ろうそくや古本、枯れ草のような→加齢臭
甘酸っぱい、腐敗した果物のような、ツンとする→ダイエット(ケトン)臭
また、においが確認できなかったけれども、それでも不安だという人は、出かける前にデオドラント剤で対策することで安心につながり快適に過ごせます。
まとめ
においは人によって感じ方が異なりますが、以下のことは一般的な認識です。
・腐敗したり不衛生なもののニオイは本能的に危険を察知して避けるために不快なニオイだと認識される
・良いにおいであっても、強すぎる場合は不快に思われる
衛生状態の悪化(細菌によるもの)や、健康状態の悪化による体臭は不快だと感じられる場合が多いです。
また、嗅覚はいつも自分が嗅いでいるにおいに対しては順応するため、自分のニオイには気づかないことが多く、注意が必要です。しっかりケアして悩まず安心して過ごしましょう。