頭皮のケアには気をつけているのにニオイが気になる・・・
そのうえ、かゆみやフケもある!
暖かくなり紫外線が強くなる時期は、頭皮のトラブルに悩まされる人が増える時期でもあります。
しつこいニオイやフケ・かゆみがある場合、頭皮のカビが原因の「脂漏性皮膚炎」かもしれません。
「カビ」と聞くとギョッとしますが、どのようなもので、対処はどうすれば良いのでしょうか?
頭皮にカビ?
ニオイだけでなく、かゆみやフケをともなう場合は「脂漏性皮膚炎」の可能性があります。
脂漏性皮膚炎とは?
脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が盛んな部位に発症する、皮膚の炎症です。
なりやすいのは、頭皮・髪の生え際・おでこ・鼻まわりなど。
頭皮にこの炎症が起こると、ニオイやすいこと以外にも、かゆみ・湿疹・赤み・かさつき・フケやかさぶたが増えるなどの症状がみられます。
原因はカビ!?
脂漏性皮膚炎は、真菌(カビ)の一種の「マラセチア菌」が引き起こします。
マラセチア菌は、普段から私たちの皮膚上に存在する皮膚常在菌の一種です。
ですが頭皮の環境が悪化すると、常在菌のバランスが崩れます。
過剰に分泌された皮脂や汗・汚れをエサにしてマラセチア菌が大量繁殖すると、脂漏性皮膚炎を引きおこします。
なりやすいのはこんなとき
以下のようなときは、脂漏性皮膚炎のリスクが高まるので要注意です。
・頭皮に脂や汚れがたまっている
菌のエサとなる汚れや脂が多いと、マラセチア菌をはじめその他のさまざまな菌が繁殖しやすくなります。
・洗いすぎ
皮脂を除去しようとして、髪を洗う際に爪を立てたり強くゴシゴシと洗ったり、洗浄力が強すぎるシャンプーを使うなど、洗いすぎも要注意です。
必要な皮脂を取りすぎることで乾燥して、皮膚のバリア機能が破壊され炎症が起きやすくなります。
また、乾燥した皮膚は油分を補うため逆に皮脂分泌が増えてしまいます。
このため、洗いすぎも逆に菌が繁殖しやすい環境になってしまうのです。
・疲れ・ストレス・生活習慣の悪化
これらは、過剰な皮脂分泌を招く要因とります。
ホルモンバランスの乱れや免疫力の低下により、皮膚の炎症も起こりやすくなります。
・乾燥する季節と紫外線の強い季節
肌が乾燥する冬場や、高温多湿かつ紫外線が強くなる初夏に脂漏性皮膚炎を発症する人は増えます。
紫外線は髪にも頭皮にもダメージを与え、炎症が起こりやすくなるので注意が必要です。
原因のマラセチア菌は他の人からうつりません
真菌(カビ)の一種と聞くと、感染するのかと不安になってしまいますよね。
ですが、他の人から感染することはありません。
「真菌」とは、微生物を性質で分類した中のグループの総称なので、その中にもさまざまなものがあります。
水虫の原因となる真菌の「白癬菌」は、私たちの皮膚に存在する常在菌ではありません。
外部からもたらされて、皮膚状で繁殖して感染します。
(白癬菌が頭部に感染した場合、頭部白癬(しらくも)と呼ばれる症状となり、フケとともに脱毛の症状が出ます。
現代では稀な症状ですが、昔は多くみられた感染症です。)
これに対して、マラセチア菌は、私たちの皮膚上に存在する常在菌です。
普段は無害なのですが、常在菌のバランスが崩れ大量繁殖すると、炎症を引き起こします。
つまり、他の人から感染するのではなく、元々いるものが増殖することで症状が出るのです。
犬の皮膚炎の原因にも・・・
マラセチア菌は人間だけでなく、犬や猫など動物の皮膚上にも存在しています。
特に犬は免疫が落ちているときに、体全体のほか耳に症状が出やすくなります。
愛犬が体や耳を痒がったり、皮膚に赤みがある場合は、マラセチア菌による皮膚炎や外耳炎の可能性があるので早めに動物病院で診てもらってくださいね。
脂漏性皮膚炎は皮膚科で治療を!
脂漏性皮膚炎は、アレルギー性の皮膚炎や刺激による炎症とは異なり、治療が必要です。
ニオイだけでなくかゆみ・湿疹・赤み・かさつき・フケやかさぶたが増えるなどの症状がある場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
脂漏性皮膚炎は慢性化しやすく、一時的に自然に症状がおさまっても、ストレスや体調によって再発することが多いやっかいな症状です。
放置せず、早めに治療することが大切です。
患部にかゆみが出ても、爪で引っかかないようにしましょう。掻き壊すことで、炎症はますますひどくなります。かさぶたは無理に剥がさないようにしましょう。
これは脂漏性皮膚炎以外でも、皮膚の疾患全般に言えることです。
予防や再発を防ぐには?
普段の生活の中でも、以下のことを心がけて脂漏性皮膚炎を予防したり、再発しないようにしましょう。
頭皮と髪を清潔に保つ
シャンプーは正しく丁寧に行いましょう。1日1回が目安です。
ぬるめのお湯で、予洗いをしたあと、泡立てたシャンプーで優しく洗いましょう。充分にすすいだあとはしっかり乾かしましょう。
シャンプー選びにも気をつけて
使用するシャンプーは、
・皮脂をとりすぎないように、洗浄力がマイルドなもの
・真菌の増殖を抑える効果のあるもの
がおすすめです。
頭皮と髪に紫外線対策を
ダメージから皮膚を守るため、紫外線の強い時は髪や頭皮の紫外線対策を行いましょう。
紫外線は3月から強くなります。3月から9月位まで油断せずに対策を。
帽子は紫外線対策に有効ですが、長時間通気性の悪い素材のものをかぶっていると、汗で蒸れるため皮膚の環境が悪化します。通気性の良い素材を選びましょう。
日焼け止め剤については一般的な肌に塗るタイプ以外にも、髪や頭皮に使えるスプレータイプや「飲む日焼け止め」などがあるので、これらをうまく活用するのがおすすめです。
生活習慣を見直す
過剰な皮脂分泌を防ぐためには、動物性脂肪の多い食品は控えめにしつつ、バランスのとれた健康な食生活を心がけることが大切です。
疲れやストレスをためず、心身ともに健康を保つようにしましょう。
脂漏性皮膚炎は治療・予防して快適な毎日を!
気になる頭皮のニオイ。
しっかりケアしてもまだ気になる場合や、かゆみ・湿疹・赤み・かさつき・フケやかさぶたが多いなどの症状がある場合は、マラセチア菌の増えすぎによる脂漏性皮膚炎の可能性があるので、早めに皮膚科を受診しましょう。
紫外線の強くなる季節や、皮脂が気になるからといって洗いすぎている人や生活習慣の悪化している人は、脂漏性皮膚炎が起きやすくなるので要注意です。
ニオイやフケ・かゆみなど不快な症状に悩まされないよう、普段からしっかり予防して、清潔感のあるさわやかな毎日を過ごしてください。