香りやニオイに対する考えは、文化や価値観によって異なります。
海外とはどのように異なるのでしょうか。また、今の日本で好まれるものはどんなものでしょうか。
海外(主に欧米)の臭いケアの考え方
海外では体臭ケアとして、香水が一般的なものとして使われています。好きな香りをまとい、個性をアピールすることが好まれています。
香水が広まった背景
昔のヨーロッパでは、入浴の習慣がありませんでした。
(※古代ギリシアやローマ時代は、入浴の文化がありました。映画「テルマエ・ロマエ」でも描かれています。ところが中世になると、その文化は廃れていきます。入浴は宗教的な理由から不道徳とされたことや、「入浴により皮膚から水の毒が入る」「風呂でペスト等の病気が伝染する」等、入浴は身体に良くないと信じられていたためです。入浴の習慣が再び広まったのは、18世紀頃に衛生面が見直されてからです。)
下水道やトイレ、ゴミ捨て場などのインフラも未整備なうえ、ほとんどの人がワキガ体質。誰でもにおいがするのが普通です。
そこで、体臭や悪臭を何とかするために広まったのが「香水」です。フランスなどの大都市の貴族を中心に、香水の文化が発達してきました。当時は、嫌なニオイをごかまして打ち消すため、強く濃厚な動物性の香りが大量に使用されました。
きっと、悪臭+香水が混ざり、余計にものすごいニオイだったことでしょう。
現在のニオイエチケット
清潔になった現代では、昔のように体臭をごまかすためではなく、「個性をアピールするオシャレ」として、多くの人に香水が好まれ使われています。
ワキガのケアも、当たり前のこととして浸透しています。
自分の体臭と香水をなじませる上級者もいますが、基本的には、デオドラント剤で体臭をケアした上で、オシャレとして香水を楽しむのが一般的になっています。
好まれる香り、華やかなものや甘くセクシーなものなど、個性的な香りが人気です。
日本の臭いケアの考え方
これに対して、日本人はニオイに敏感です。無臭、または、ほのかな香りが好まれます。
文化的背景や習慣
日本では古くから体を清潔に保つべきという美意識がありました。体を清めることが推奨されていた仏教文化の影響もあるでしょう。高温多湿な気候で汗をかくことが多く、かつ水が豊かなため(温泉も豊富です)かいた汗を洗い流すことが可能であったことなどが理由です。
インフラが未発達であった平安時代の貴族たちはお香を焚きしめて体臭をごまかしていましたが、江戸時代以降は、庶民にも入浴の文化が広まり、湯船につかることが一般的になりました。
この頃から、日本人の清潔好きは海外からも驚かれるほどだったそうです。
遺伝的にアポクリン体質の人が少ないことも、より体臭に敏感になっている理由でしょう。
実はスゴイ!湯船につかる日本式入浴スタイル
入浴のスタイルは、国によって様々です。シャワーを使って体を洗う国が多いですが、水につかる「沐浴」や、サウナ、蒸し風呂などのスタイルがあります。その中でも、湯船につかる日本式のお風呂は、世界でも珍しい方式ですが、じつは体臭の予防・改善にとても効果的。
心身の疲れ・ストレス解消、血行促進や汗腺を鍛える効果など、メリットがいっぱい!ぜひ日本式お風呂スタイルである湯船の良さを見直して、体臭対策に役立ててください。
現代日本で好まれるのは
現在でも日本では良い香り・嫌な臭いにかかわらず、強いニオイは好まれません。
高温多湿な気候は、匂いの感じ方を強めます。「個」を主張せず人の「和」を大切にする文化の影響もあるでしょう。「無臭」が1番好まれます。
無臭以外では、ほのかな石鹸の香りや柑橘系などが好まれますが、清潔感が第一とされる傾向です。
近年は清潔思考がますます強まり、スメルハラスメント問題まで発生するほど。
多くの人が集まるビジネスシーンや公共の場所では体臭はもちろん、香水や柔軟剤も強すぎることがないよう気を配る必要があります。
現代日本人は昔より体臭が発生しやすい?
近年は日本人の食生活も変化し、肉や脂を多く摂りがちです。
また、働きすぎと言われる日本のビジネスパーソンは、ストレスや疲労も抱えがち。
これらは、体のニオイを発生させる原因です。
逆に、ニオイを気にするるあまり、体や頭の「洗いすぎ」でかえってニオイが強くなっている人もいます。
清潔にしていても、こういった理由から、現代日本人は昔よりも体臭が発生しやすいため、注意したいですね。
日本人の盲点、口臭に注意
海外から来た人にとって、日本人の気になるニオイは体臭よりも「口臭」。
日本にいる外国人へのアンケート調査によると、なんと7割以上が「日本人の口臭が気になる」と答えたそうです。
キスやハグの習慣がなく人と人の距離感が遠いことや、虫歯になっても保険で安く治療できることから、歯周病の予防の意識が低くオーラルケアが不足している人が多いことが原因です。今や日本で歯周病の人は30代以上では8割以上と言われるほど。体臭だけでなく、口臭ケアにも気を配りたいものです。
さいごに
気候や文化・歴史的背景から、日本人は昔からニオイには敏感です。現代でも、「無臭」もしくは「ほのかな香り」が好まれる傾向です。
職場や公共の場所では周囲の人に不快な思いをさせないように、体臭や香水、柔軟剤なども含め、強すぎることがないように注意しましょう。特に、オーラルケアを怠りがち人が多いため、要注意!