人と近くで話すとき、相手に口臭があったら残念ですが、自分も臭っていないかどうか不安になりませんか?
ニオイの中でも口臭は特に、自分で気づきにくいうえ、指摘しづらいもの。
不安を解消して、さわやかな息で自信をもって話すためにはどうすれば良いでしょうか。
口臭の原因と対策
口臭は、以下のように大まかに分けられます。対策方法もそれぞれ異なります。
生理的口臭
起きた直後、空腹時、緊張したときは、唾液の分泌が減少します。すると口内では細菌が増加して、臭いが発生します。これは生理的口臭と呼ばれ、一時的なものであり、誰にでも発生するものです。水分を摂ったり歯磨きをすることで改善されるので、特に問題はありません。
食べ物によるもの
ニンニクやネギなど、ニオイの強いものを食べた後や、お酒を飲んだ後も口臭は発生します。一時的なものであり、時間が経てば臭いは消えますが、人と会う直前はこれらの飲食は控えましょう。
口腔(口の中)の環境悪化が原因の口臭
口内の環境悪化やトラブルは、強い口臭の原因となります。主な口腔トラブルとしては以下のものがあります。
舌苔(ぜったい)
食べカスや老廃物、死んだ細胞などが、舌の表面に白っぽい苔のように付着したものが「舌苔」です。
この舌苔を口内の細菌が分解することで、悪臭が発生します。
舌苔はうがいだけでは取れません。除去するには、専用のブラシかガーゼを使い、舌を傷つけないようにそっと拭き取り「舌磨き」を行いましょう。
ドライマウス(口腔乾燥)
唾液の分泌が少なくなり、口の中が乾燥するのがドライマウスです。
唾液の役割は、食べ物の消化だけではありません。食べかすや歯垢(プラーク)を洗い流したり、口の中の細菌の増殖を抑える働きがあります。唾液が減少すると、歯垢は流されずに口の中に残り、それを繁殖した細菌が分解することで口臭が発生します。
唾液分泌の減少を招く主な要因は、ストレスや加齢、自立神経の不調など。口呼吸の人もドライマウスになりがち。
改善するには、心身の疲れを解消することや、こまめな水分補給、ガムを噛んで唾液の分泌を促すことが有効です。口呼吸の人は、原因となる鼻炎やいびきの対策が、口臭の改善につながります。
虫歯
虫歯により歯に穴が空き、そこに詰まった食べカス等が細菌の働きにより発酵・腐敗すると、臭いが発生します。
さらに進行すると、歯の神経も腐敗してしまい、強い悪臭が発生します。
虫歯は、早めに治療しましょう。
予防のためには、日頃からしっかりとケアを行いましょう。歯磨きの際は歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシも使用して歯の隙間の汚れを取り除きましょう。殺菌成分が含まれるデンタルリンス等の洗浄剤も有効です。
日頃のケアに加えて、定期的に歯科に通って、健診を受けたり歯石の除去をしてもらうことをおすすめします。
歯垢・歯周病
口の中の細菌は、食べカス等をエサにして繁殖して、プラーク(歯垢)を形成します。歯垢は歯周病の原因となるうえ、揮発性の硫黄化合物のガスを出すため、不快な口臭の原因となります。
歯周病が進行すると膿が出てさらに臭いは強くなります。
改善するには、虫歯の予防と同じく日頃のケアを。歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯石やプラークが溜まらないようにしっかりと汚れを取り除きましょう。
歯科医院では歯周病のチェックをしてもらえます。定期的に検査して、見つかれば早めに対策しましょう。
膿栓(のうせん)
喉の奥ある扁桃腺には、喉から入ってくるウイルスや細を殺して体内に入るのを防ぐ役割があります。この扁桃腺の表面にあるくぼみに、食べ物のカスや、ウイルスや細菌の死骸などが溜まり、塊となったものが「膿栓」です。
膿栓は「ドブのような」「硫黄が混ざったような」と例えられる、強いニオイがします。
膿栓の予防には、細菌が増えないよう口内環境を整えることが有効なので、ドライマウスや歯周病の対策と共通です。できてしまった膿栓が気になる場合は、扁桃腺を傷つける危険があるため自分で取らず、耳鼻咽喉科で取り除いてもらいましょう。
内臓のトラブルが原因の病的口臭
体の中の異常が原因で発生するのが「病的口臭」です。
内臓に原因がある場合(糖尿病、便秘、肝機能低下など)は体内で発生した臭いが血流に乗って全身に流れ、口臭以外にも汗の臭いや皮膚ガスとして発散されます。
この場合は、疾病の治療や生活習慣の改善を行い、健康を取り戻すことで口臭もなくなります。
扁桃炎、副鼻腔炎などの耳鼻科の病気が原因の病的口臭
扁桃炎になると、上記でご紹介した「膿栓」ができやすくなるうえ、悪臭を放つ口内細菌が増加するので口臭の原因になります。
また、副鼻腔炎(蓄膿症)でもにおいのある分泌物や膿が出ます。鼻と喉はつながっているので、これらも口臭の原因となります。
早めに病院で治療しましょう。
その他
コーヒーに含まれるカフェインや、タバコに含まれるニコチンには、交感神経を緊張させる働きがあるため、唾液の分泌が減少してドライマウス状態を引き起こします。摂取した後は、水を飲んだりガムを噛んで唾液の分泌を促すなどして対策しましょう。
原因に応じた対策を!
体の不調から来る口臭であれば、充分な睡眠と休養をとり栄養バランスのとれた食事を心がけて、健康を保ちましょう。疾病があれば治療することが改善につながります。
歯周病や虫歯がある場合は、治療しましょう。舌苔やドライマウス、歯周病など、口内環境が原因の口臭は、口の中を清潔にすることが根本的な改善策です。
日頃のセルフケアに加えて、定期的に歯科医院を受診してプロによるケア・指導を受けることがおすすめです。
口臭対策として、ミントタブレット等は人気ですが、効果は一時的なものです。根本的な予防と改善は、日頃のケアが大切です。