冬でも眠っている間に汗をかいていることがありますよね。
寝汗がひどくて夜中に目が覚めてしまうという人もいるでしょう。
寒い時期、眠っているだけなのに、どうして汗をかくのでしょうか?
どうして眠っている間に汗をかくの?
健康な人はどんな季節でも、眠っている間にコップ約1杯分(200ml)の汗をかきます。
夏の熱帯夜であれば汗の量はさらに多くなり、その2倍以上になることもあります。
眠るときに汗をかくのは、私たちが良質な睡眠をとるために必要な現象です。
人は深く眠るためには体温(深部温度)を下げる必要があります。入眠時に汗をかくことで気化熱により熱を逃し体温を下げて、深く眠れるように体温を調整しているのです。
これは季節に関係なく起こることなので、冬場であっても、寝汗をかくのは自然なことなのです。
※風邪をひいて熱が出たときに大量の寝汗をかくのは、熱を下げようとして汗を出そうとする体温調整機能がはたらいているからです。
寝汗が多すぎる場合は良質な睡眠の妨げになる
私たちが寝汗をかくのは良質な睡眠のための自然な現象ですが、かく汗の量が多すぎると逆効果になります。
不快感で夜中に目が覚めてしまったり、朝起きたときにパジャマが汗だくになっている・・・
そうなると、逆に寝汗が良質な睡眠を妨げてしまうことになります。
睡眠の質が低下したり睡眠不足になるので、心身の疲れが解消されません。免疫力の低下や肌トラブルにつながります。また、かいた汗で冷えすぎて風邪をひいてしまったり、水分が不足して脱水状態にもなってしまいます。
寝汗をかき過ぎる原因と対策は?
必要以上に寝汗をかくのはどうしてでしょうか。主な原因とその対処方法を紹介します。
暖かすぎるなど、睡眠環境が適切でない
寝具や暖房器具によって睡眠時の温度や湿度が高すぎると、必要以上に寝汗をかいてしまいます。
眠るときの室温は、夏は26℃、冬は16~19℃位、湿度は年間を通じて50~60%が最適です。
毛布や厚手のパジャマで暖かくしすぎていたり、暖房や電気毛布をつけたままで眠ったりすると、熱と湿気がこもるので汗が増えます。さらに、体温が下がりにくくなるので深い眠りが得られません。
暖房や電気毛布は、眠りに入る前の冷え対策としては有効ですが、つけっぱなしで眠るのはおすすめしません。
タイマーを設定して睡眠中は切るようにするなど工夫してください。
汗を吸わない素材のパジャマを着ている
寒い時期のパジャマは暖かさだけに注目しがちですが、それだけでなく吸湿性や吸水性も考えて選ぶようにしましょう。
フリースやマイクロファイバーなど化学繊維の素材は暖かいのですが、吸水性・吸湿性がないので汗をかいたあと蒸れや体の冷えの原因になります。
寝汗がひどい人は、綿やウールなど吸水性や吸湿性がある天然素材のものがおすすめです。
どうしても寒い場合は中に天然素材のインナーを着て、その上に暖かいものを重ねるとよいでしょう。
自律神経が乱れている
体温が適切になるように調整しているのは、自律神経のはたらきです。
自律神経は、活動時や緊張時に優位になる「交感神経」と、リラックスした時や休息時に優位になる「副交感神経」を切り替えることで心身の活動のバランスを保っています。
発汗をつかさどるのは交感神経です。
睡眠時は心身を休息させるため副交感神経が優位になることが望ましいのですが、ストレスなどが原因で自律神経が乱れるとこの切り替えがうまくいかなくなり、必要以上に寝汗をかいてしまいます。
これを改善して正常な体温調節ができるように、自律神経を整えましょう。
自律神経を整えるためには、充分に休養をとって心身のストレスを解消する・規則正しい生活リズムを心がる・バランスのとれた食事をする・軽めの有酸素運動やストレッチをおこなうなどが有効です。
湯船でリラックスするのがおすすめ
眠る1〜2時間ほど前にお風呂でぬるめ(40度程度)のお湯につかるのが特におすすめです。
心身のリラックス効果で副交感神経が優位になり、眠りに入りやすくなります。
また、湯船で体温がいったん上がり、そのあと1〜2時間ほどかけて深部体温が下がると眠気が起きるので、このタイミングで眠りにつきやすくなるのです。
お湯が熱すぎると交感神経が優位になり逆効果なので、ぬるめのお湯に入ることがポイントです。
また、パソコンやスマホの光は交感神経を刺激して良質な睡眠を妨げるので、眠る1〜2時間前にはパソコンやスマホを見ないようにしましょう。
その他、疾患やホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは自律神経に影響するので、加齢や更年期障害によるホルモンバランスの乱れが考えられます。
女性であれば生理や妊娠の影響も考えられます。
あまりひどい場合は甲状腺異常など疾患の可能性もあるので、病院に相談しましょう。
寝汗が多いときはニオイにも注意
寝汗が多いと、良質な睡眠を妨げたり風邪をひく原因になるだけでなく、体臭も発生しやすくなります。
眠る前に入浴して清潔な状態にしても、眠っている間にたくさん汗をかきます。
通気性の悪い布団やパジャマを使っている場合、温度と蒸れにより菌は繁殖しやすい環境です。
自律神経が乱れている場合、汗は老廃物を多く含む「悪い汗」になりがちです。
寝汗を多くかく状況は、汗臭やわきが臭が発生しやすい・強くなりやすい状況になっているのです。
上記でご紹介した対策で必要以上の寝汗を防ぐとともに、かいた寝汗はシャワーで洗い流すようにしましょう。
また、身体だけでなく布団や枕にも注意が必要です。菌が繁殖して臭いが発生するうえ、カビやダニが繁殖して衛生面でも良くありません。
じかに使わずシーツや布団カバー・枕カバーを使用して、できるだけこまめに洗濯するようにしましょう。
毎日洗濯するのが難しいものは、布製品用の消臭スプレーをうまく活用すると良いでしょう。
除菌・抗菌効果のあるものがニオイだけでなくカビや菌、ダニの予防になるのでおすすめです。
寝汗は自然な現象。だけどかきすぎには注意
睡眠中は体温調整のため寝汗をかくのは自然なことです。
ですが寝汗のかきすぎは逆に良質な睡眠を妨げるうえ、体臭も発生しやすくなります。
睡眠環境を整えたり生活習慣を見直すなど、良質な睡眠をとれるよう対策しましょう。