「加齢臭=不快なニオイ」とイメージされがちですが、本当にそうでしょうか?
実は、これは誤解で、現役世代の不快なニオイの元は、「ミドル脂臭」であることがほとんど。ミドル脂臭に加えて、汗臭や疲労臭などが混じってより強いニオイになっている場合も多いです。
現在、加齢臭とミドル脂臭は混同されたり誤った認識がされがちですが、ニオイも別物で、原因物質も発生する仕組みも異なります。
加齢臭はそれほど不快なニオイではない
こちらの記事でもご紹介していますが、加齢臭の原因物質は「ノネナール」であり、皮脂が酸化して発生します。ノネナールはそれほど不快な臭いではありません。
ろうそく、枯れ草、古い本、線香などに例えられ、落ち着く匂いである等の比較的好意的な感想を持つ人もいます。
ピークとなる年齢は60代後半ですが、この年代の方でそれほどニオイが強い方はほどんどいないことからも、不快だと感じるニオイの直接の原因ではないはずです。
一方、ミドル脂臭は不快で女性に嫌がられるニオイ!
対して、ミドル脂臭の主成分「ジアセチル」は、少量でも周囲に拡散する強烈な臭いです。
古い油や発酵した乳製品にも例えられるような鼻にまとわりつく臭いで、特に女性に嫌悪感を持たれやすいという特徴があります。
ジアセチルは、疲労やストレスにより、汗の中に増えた乳酸が細菌に代謝・分解されることで発生します。
もうひとつのミドル脂臭の成分である「中鎖脂肪酸」は皮脂を細菌が代謝分解する事によって発生します。加齢により皮脂の粘性が高くなると洗い流しにくくなるため、発生しやすくなります。
ミドル脂臭は、誰にでも発生し得るものですが、疲労やストレス、運動不足や食生活の偏りなど生活習慣の乱れが原因となります。女性でも発生しますが、男性は汗や皮脂の分泌が多いためさらに注意が必要です。
つまり、発生する条件が最も多いのが、忙しく慢性的に疲労がたまりがちな、働き盛りの30代〜40代の男性ということになります。(この条件はミドル脂臭だけでなく他にも汗臭や疲労臭・ストレス臭なども発生しやすいため、様々なニオイが混じり余計に強い臭いになる場合も多くあります)
つまり、ミドル世代の不快なニオイは加齢臭ではない!
これらのことから、ミドル世代の不快な体臭、例えば家庭や職場で、「加齢臭がひどい!」と言われるケースは、実は加齢臭ではなく、ミドル脂臭(+その他の混じったニオイ)であることがほとんどだと言えるでしょう。
枕のニオイが気になったり、家族に臭いを指摘された場合は、加齢臭対策ではなくミドル脂臭の対策を行いましょう。
なぜ混同されるの?
臭い成分もメカニズムも異なるにも関わらず、加齢臭とミドル脂臭は混同され、誤って使われがちなのは、その言葉のイメージからではないでしょうか。
「オヤジは臭い」というイメージが生まれ、それが「加齢臭」という言葉のイメージと合ったために紐付けられ、定着してしまったと考えられます。
ミドル脂臭という言葉や、その原因も、まだ世間の認知度が低いことも一因かもしれません。
さらに、一部の中高年の人の、清潔感に欠ける身だしなみやおじさんっぽい行動などの悪いイメージから、余計に言葉のイメージも悪くなっているようです。
原因に応じた対策を
ミドル脂臭の対策は、皮膚や頭皮を清潔に保つことも必要ですが、疲れやストレスを解消し、適度な運動やバランスのとれた食生活など生活習慣からの見直しが大切です。
さらに、ミドル脂臭が発生する年代はまだまだ汗の分泌も盛んであるため、汗臭も同時に発生しがち。運動不足で普段汗をかかない人の汗や、緊張する場面でかく汗は、老廃物が多く含まれるためニオイが発生しやすいです。かいた汗は都度拭き取り、汗腺を鍛えて良い汗をかけるような生活を心がけ、相性の良いデオドラント剤を使うなどの対策が有効です。
さらに、日々の疲れやストレスから、疲労臭やストレス臭が併発している場合も多いので、健康状態から見直して解決しましょう。
まとめ
「加齢臭 = 臭い」という世間のイメージがありますが、実は加齢臭(ノネナール)はそれほど不快なニオイではありません。
多くの人(特に女性)が不快だと感じるニオイは「ミドル脂臭」です。
ミドル世代でニオイが気になる場合は、ミドル脂臭が主な原因で、他に汗などの様々なニオイが混じっている場合がほとんどです。
混同されがちですが、これらは異なるものです。原因に合った対策を行いましょう。