ワキガの臭いは、アポクリン線か分泌される汗が細菌に代謝・分解されることで発生します。
このアポクリン線が多いワキガ体質かどうかは、遺伝によるところが大きいものです。
子供には、どのくらいの確率で遺伝するものなのでしょうか?
また、本人が気にしたり、傷ついたり、ニオイが原因でいじめられないか等、心配になりますが、どうすればよいのでしょうか?
遺伝するの?
ワキガ体質は、親から子へ受け継がれやすい「優性遺伝」です。
子供に遺伝する確率は、
両親の片方がワキガの場合→50%の確率で子供に遺伝
両親がどちらもワキガの場合→75%の確率で子供に遺伝
おおよそこのくらいの確率だと言われています。
なお、両親どちらもワキガでないのに、子供がワキガであるということもありえます。
この場合は、両親のどちらかが実はワキガであるけど軽度のため気づかなかったというケースが考えられます。
※ワキガのにおいの強さは人によって差が大きく、どのレベルならワキガ体質であるといった明確な基準はありません。そのため、他人に伝わるニオイレベル合を「ワキガ体質」としています。
・遺伝以外の要因も
遺伝的にはワキガ体質であっても、環境や生活習慣などでニオイの出やすさは異なります。
動物性の脂肪を多く摂る食生活や、ストレスの多い環境によりアポクリン線の活動が高まり、ワキガが強くなることも。
遺伝したかどうか、いつわかるの?
アポクリン線は、性ホルモンと関係していて、思春期以降に活発に働きます。ワキガに気づくのは、10代はじめから10代後半という場合が多いです。
ただし個人差があるので、もっと小さい頃から判明する場合も。
ワキガのニオイのピークは10代後半から20代と若いとき
ワキガのニオイが最も強くなるのは、10代後半から20代にかけてです。
その後は年齢と共に汗の量自体が減少するので、徐々にニオイは弱まる傾向です。ただし、食生活やストレスの影響を受けて、再び強くなることもあります。
また、年齢を重ねてワキガのニオイが弱まっても、ミドル脂臭や加齢臭などが発生して混ざることで体臭が強くなることもあります。
対策は?
重度のワキガであれば手術をして治療する方法もありますが、成長途中の子供にはおすすめしません。
手術をして、その時点で存在するアポクリン線を取り除いても、その後でまたアポクリン線が発達してくることがあるからです。手術をする場合は、成長期が終わってからのほうが良いでしょう。
(ただし、たいていの場合は、手術をせずとも日常生活上の正しいケアで対処が可能です。手術は最後の手段として考えてください。)
大人になるまでは、日常生活で正しいケアを心がけてください。
日常生活でのケアのポイントは以下のとおりです。
・動物性脂肪を摂りすぎない
動物性の脂肪の取りすぎや、ストレス、疲れはワキガのニオイを強くします。野菜を多く食べる健康的な食生活を心がけましょう。
・ストレスや疲れをためない
ストレスからかく汗はアポクリン線から分泌されます。また、心身の疲れはワキガのニオイを強くします。しっかりと休養・睡眠をとり、ストレスや疲れを解消しましょう。
・脇汗をブロックする制汗剤を使用する
汗を止める制汗剤を使用して、脇の下の汗をブロックして、臭いの発生を防ぎましょう。スティックタイプやクリームタイプのものがしっかりとブロックできるのでおすすめです。
※全身の汗は止めてはいけません。汗を止めるタイプのデオドラントは、体温調節に影響が少ない箇所(足の裏や脇の下など)のみ限定的に使用してください。
・インナーシャツは袖のあるタイプの綿素材のものを
ドライタイプのシャツを素肌の上に直に着ると臭いが強くなります。インナーシャツには、綿素材で、脇汗を吸収できるよう袖のあるタイプのものを着用するのがおすすめです。
・定期的に汗をかき、汗腺を鍛える
汗をかかない生活が続くと、汗腺のろ過機能が弱まり、かいた汗は含まれる老廃物が多く臭いやすい「悪い汗」になります。
普段から汗をかき汗腺を鍛えることで、含まれる老廃物が少なく臭いにくい「良い汗」をかけるようになります。
運動をしたり、お風呂の湯船につかるなど、良い汗をかけるように定期的に汗をかく習慣をつけましょう。
・衣類のケア
汗や皮脂を吸った衣類の中では、汗に含まれる有機物が雑菌に代謝・分解されて、強いニオイが発生します。
汗をかいたらこまめに着替えるようにしましょう。
また、衣類専用のデオドラント剤もおすすめです。ニオイの発生を防ぐ抗菌効果のあるものや、ワキガの原因物質をしっかりと消臭できるものを選びましょう。
まとめ
アポクリン線が多いワキガ体質は、統計上は高い確率で遺伝します(必ずということではありません)。
ですが、ワキガ体質であっても、過剰に気にして悩む必要はありません。日常生活でケアをすれば充分な場合がほとんどです。
成長途中の子供はアポクリン線が未発達なので、手術は、大人になってから検討することをおすすめします。
子供のわきがはしっかり自宅でケアしましょう。