ワンちゃんの中でも、靴下や靴が好きな子は多くいます。
特に、お父さんの靴下など、くさいものが大好きです。
犬って、嗅覚が優れているはずなのに、どうしてくさいにおいを間近で嗅いでも平気なのか、不思議に思いませんか?
犬の嗅覚はこんなにすごい
多くの哺乳類にとって、生きるために嗅覚が重要な役割を担っています。敵味方の区別をしたり、食べ物を探したり、パートナーを探すなど。
人間にとっても、嗅覚は五感の中で最も本能に働きかける感覚です。
特に犬の嗅覚は、人間とは比べ物にならないほど優れています。
人間の100万倍以上、物質によっては1億倍も敏感ににおいを感じ取ることができると言われています。
優れた嗅覚を活かして活躍する犬たち
優れた嗅覚と頭の良さを併せ持つ犬は、様々な所で活躍しています。
犯人や行方不明者の足跡を辿る警察犬や、空港などで麻薬が持ち込まれていないか嗅ぎ分ける麻薬探知犬、災害現場で捜索をする災害救助犬など。これらの仕事は、犬たちにしかできないことです。これほど科学技術が発達している現代でも、犬はどんな機械にも勝るほど、においを探知できるのです。
ものすごい嗅覚なのに、強い臭いを間近で嗅いでも平気なの?
そんな驚異的な嗅覚を持っているなら、くさいにおいを嗅いだときにさぞ苦しいのでは?と思ってしまいますが、そういうわけではありません。
嗅覚が優れているというのはニオイを強く感じるのではなく、ニオイに含まれるわずかな物質まで検知して嗅ぎ分けができる、という意味です。
私たち人間が感知できないほどのわずかなニオイからでも、犬は膨大な情報を得ることができるのです。
ただし、ニオイの強さに関わらず、犬は化学物質など自然界に存在しないニオイが苦手です。例えば、タバコやアルコール、香料など。刺激となり、犬の体に悪影響を与えるため、愛犬の前ではこれらのものは避けるようにしましょう。
「くさい」「汚い」という認識は人間だけのもの
愛犬が、よく足のニオイや、散歩中に落ちている他の犬のフンのニオイを確認しているけど、平気なの?という疑問を持つ飼い主も多いでしょう。
犬は、自然界に存在するニオイを不快とは感じていません。だから平気なんです。
犬の嗅覚は自然界に存在する有機物(生き物)の匂いに対して敏感で、ほんの僅かなニオイでも感じ取ることができます。そして、基本的に有機物のニオイが好きです。天敵となる猛獣のニオイであれば避けますが、私たち人間が「くさい」と思うものでも、犬にとっては興味をひく対象となるのです。
とはいえ、不潔なものは感染症の危険があるので、愛犬が触れないように飼い主が注意したいところです。
犬は特に、足の臭いが好き!その理由は?
私たちがくさいと感じるのに、犬は大好きな足のニオイ。
犬は飼い主のニオイがついたものは基本的に好きですが、特に靴下など足のニオイに執着します。
その理由は、足のニオイの原因物質「イソ吉草酸」です。
靴や靴下にはこのイソ吉草酸が染み込んでいるめ、犬にとっては特に魅力的なものとなるのです。
犬の体臭と同じニオイ成分「イソ吉草酸」が含まれるのが足のニオイ!
犬独特のニオイは、全身にあるアポクリン汗腺からの汗が原因だとお伝えしました。詳しくは前回の記事でご紹介しています。
この犬臭は、相手を知るための大切なコミュニケーション手段ですが、その成分は人間の足の悪臭成分と同じ「イソ吉草酸」が含まれています。
犬にとっては、飼い主の靴下や靴は、大好きな飼い主のニオイが強く残っているうえ、そのニオイは自分たちと同じ系統のものです。
私たちにとってはくさいと感じるイソ吉草酸も、犬にとっては、安心できる良い香り。
だから犬は、大好きな飼い主の匂いであり、しかも安心できる匂いがついた靴下や靴が大好きなのです。
特に、一日中革靴を履いていた足は臭いが強くなりがち。お父さんの靴や靴下が格別に好きな理由はここにあります(お父さんのものに限ったことではありませんが)。
靴下の臭いが好きな猫や、クサイ表情をする猫もいる!
犬だけでなく、靴下や靴の臭いが好きな猫もいます。靴下や靴に染み付いたイソ吉草酸は、マタタビと匂いが似ているためです。
また、さらに、イソ吉草酸は、猫のフェロモンにも似ているため、しっかりと匂いを確認しようとして起こるのが「フレーメン反応」です。
フレーメン反応とは、猫がフェロモンを嗅ぎ取る際、口が半開きになる反応です(口から匂いを取り込むため)。
その表情はまるでくさいものを嗅いだかのように見えますが、猫自身はくさいと思っていません。臭いの中にフェロモンがあるかどうか確認しているのです。猫にとっても飼い主の足の臭いは嗅ぎたくなる好きな臭いということです。
↑猫のフレーメン反応
-さいごに- 足のニオイは犬に好かれても人間には嫌がられるので注意
今回は、なぜ犬や猫はくさいはずの足の臭いが染み付いた靴下や靴が好きなのか、その理由を紹介しました。
ただし、足の臭いは、他の人間にとっては強い悪臭として、とても嫌がられるものです。
犬や猫が特に足の臭いを嗅ぎにくるようであれば、足が臭っているということかもしれません。
靴を脱いで座敷に上がったり、他人の家に上がったときに恥ずかしい思いをしないよう、足の臭いの対策はしっかり行いましょう。